函館弁天に佇む、125年目の歴史を持つ「函館どつくレンガ倉庫」。
その2025年の姿を、写真家・小池貴之さんが見つめ、記録。
函館の歴史と記憶を未来へと手渡す写真展『函館どつくレンガ倉庫写真展 by 小池貴之2025』をご紹介します。
2025年3月、函館どつくレンガ倉庫の解体計画が静かに知らされました。
函館最古級の赤レンガ倉庫であるこの建物は、約100メートルに及ぶ赤レンガの壁を持ち、函館の産業と歴史を知るうえで非常に価値のある存在です。
しかし、その価値を深く知る人は少なく、このままひっそりと歴史の幕を閉じてしまうのかと思うと、函館の心臓部の一角をなしてきたこの愛すべき風景と建造物、レンガたちがあまりにもしのびない気持ちになります。
この計画について地元出身のアーティストTERUさんもSNSで想いを発信されました。
函館ビエンナーレ芸術祭のメイン会場の候補にしていた赤レンガ倉庫を視察しに行ったら…
— TERU (@TE_RUR_ET) July 14, 2025
この建物と金森を見て、ベネチアのビエンナーレの構想が生まれたのに…
この建物を守りたい。
なんとかならないもんだろうか? pic.twitter.com/cL79si9OQm
「まずはこの倉庫の価値を知ってもらおう」と有志によってウェブサイトやウィキペディアページ、グーグルマップの歴史スポット登録などの活動が行われました。
その動きは、函館の美術館の展示開催で長期帰省していた函館出身の写真家・小池貴之さんにも届きます。
記憶と記録を残すため、有志により函館どつくレンガ倉庫写真展2025実行委員会が発足、小池貴之写真展が企画されました。
小池貴之さんは、写真を通して「記憶を物質として記録する」ことに取り組む写真家。
ゼラチンシルバー、鶏卵紙、湿板写真などの古典技法を用い多くの作品を制作。
現在、北海道立函館美術館で展覧会も開催されています。
Kino Koike Photography
今回の写真展実行委員でフライヤーを制作した田柳恵美子さんにお話しをうかがいました。
「チラシの文面に書かせていただた通り、まもなく125歳を迎える函館で最も古い煉瓦倉庫が今秋に解体される計画が分かりました。函館の貿易史・港湾史の生き証人として永い間この姿をとどめてきた倉庫です。
"今の姿が失われる前にせめて「光」としてしっかりと記憶にとどめておきたい"そんな思いから私たち発起人有志で、函館出身の写真家 小池貴之さんに撮影を依頼したところ快く引き受けてくださいました。
今回展覧会で展示される写真は今年の夏に撮影されたものです。」
*2025年7月の撮影の様子。湿板をその場で液にさらす。
*こちらはフライヤー案としてデザインされたもの。レンガの風合いと存在感が迫るよう。
「あの倉庫の存在を知らない人が函館でも多くて...。
半分は解体されて半分はとりあえず残るとの情報もありますが、それでも100メートル長の景観はなくなってしまったら、現在の雰囲気はすっかりなくなってしまうと思うんです。
今回の展覧会はまさにこの赤煉瓦倉庫の真向かいにあるギャラリーで開催されます。
写真に焼き込まれた光の記憶と、リアルな倉庫の景観とを同じ場所で合わせ見るにことができる最期かもしれない貴重なチャンスだと思います。
ぜひこの機会に一人でも多くの方々に歴史的な景観を目にしていただいて奥深く記憶していただきたいと願っています。」
今はまだ実際に見て触れることができる「函館どつくレンガ倉庫」。
その歴史と記憶を未来へと手渡すことで、次の歴史の一歩目が始まります。
ぜひ多くの方に見て、知っていただきたいです。
『函館どつくレンガ倉庫写真展 by 小池貴之 2025』|会期・会場など
■ 会場:TSU@THE TABLE GALLERY(▼函館市弁天町1-16 *市電函館どつく前電停より徒歩3分)
■ 会期:2025年9月3日(水)~15(月祝)(※9/9は休館日)
■ 時間:11:00~17:00
■ 料金:入場無料
■ 主催:函館どつくレンガ倉庫写真展2025実行委員会
参考情報
記事執筆参考とさせていただいたサイトです。
函館どつくレンガ倉庫について詳しく知ることができます。
函館の隠れた煉瓦 - 弁天倉庫—125年の記憶が消えゆく前に

函館の隠れた煉瓦 - 弁天倉庫—125年の記憶が消えゆく前に
函館弁天町にひっそりと佇む赤レンガ倉庫群。明治34年から125年間、函館の海を見つめ続けてきた弁天倉庫(函館どつくレンガ倉庫)が解体の危機に。消えゆく前に、その物語を紐解きます。
Wikipedia-函館どつくレンガ倉庫-

函館どつくレンガ倉庫 - Wikipedia
X レンガちゃん(@hakodaterenga)

レンガちゃん(@hakodaterenga)さん / X
函館どつくレンガ倉庫が大好きです💔 明治34年築、125年の歴史が11月1日に消えてしまう… 毎日写真を撮りに行きます。この美しい建物を残したい